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Conditioning Journey - #1 葉山加地邸

 

TENTIAL「BAKUNE」を導入している宿などに、その採用理由を聞くインタビュー企画。

旅人を支える一流のホスピタリティになぜTENTIALが必要なのか?

現地を訪れ、その理由を探りながら移動のコンディショニングについて考えていきます。

 

 

 

 

#1 葉山加地邸 HAYAMA KACHITEI

 

 

 

 

幻の建築に流れる時間

 

逗子ICで降りて、国道134号線を一色海岸方面へ約15分。大きなカーブをゆるやかに下っていくと、空がだんだんとひらけてきます。右手には、三ヶ岡山緑地。もうすぐ御用邸、という辺りで車を停めます。青々とした緑地を仰ぎ見ると、木々の隙間から緑色の屋根が見えました。

 

そこが「葉山加地邸」。この7月から「BAKUNE」をゲストのパジャマに採用した、一棟貸しの宿泊施設です。

 

この邸宅が建てられたのは1928年のこと。設計を担当したのは、近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライトの愛弟子である遠藤新です。F.L.ライトと言えば、帝国ホテルの設計者。遠藤も師匠とともに計画にたずさわり、あの名建築を完成させたのは1923年のことでした。ここ加地邸が建てられたのは、その5年後です。いたるところに、F.L.ライトの建築哲学と、遠藤の新たな試みを見ることができます。

 

加地邸は、加地利夫という財界人が建てた私邸です。戦後の一時期はGHQに接収されたこともありましたが、近年まで加地家の子孫が大切に管理を続け、それゆえに人の目に触れる機会も限られた、いわば幻の建築でした。

それを、現在のオーナーが譲り受け、修繕と改修をして2020年に一棟貸しの宿泊施設としてオープン。泊まれる有形文化財として、世界中からゲストが訪れる宿になりました。

 

加地邸を訪れると、まずは支配人の松橋直人さんが建物を案内してくれました。

 

 

 

葉山加地邸 支配人
松橋直人 Naoto Matsuhashi

 

━━ 加地邸の特徴を教えてください。

 

加地邸には、遠藤の師であるF.L.ライトの建築哲学が色濃く反映されています。

 

たとえば、この屋根を見てください。水平にまっすぐ伸びる庇は、背後の山と溶け込むようなデザインです。建物を周囲の環境と一体化させる。それは、ライト建築の特徴のひとつである、プレーリースタイルと呼ばれるものです。この他にも加地邸には建物と周囲の自然環境を一体化させるような工夫がたくさんあります。

 

━━ 自然と一体化させる工夫とはどのようなものですか?

 

建物内には、照明やガラス窓で六角形の幾何学的なデザインが多用されていますが、六角形は雪の結晶や蜂の巣など自然界に存在する形。装飾も室内に自然を取り組む工夫のひとつになっているんです。家具もすべて、この建物のためにデザインされたもので、作られて100年近く経つ今ではもう、修復できる職人を探すのも大変です。

 

遠藤は師の教えをさらに深め「全一」という建築哲学を持っていました。周囲の環境も、建物も、室内の装飾も、別々に考えるのではなくひとつのものとして総合的に捉える。だから、すべてのディテールが全体の美しさに繋がり、同時に全体の美しさが、ディテールをさらに際立たせています。加地邸は、そんな遠藤のこだわりが詰まった、いわば芸術作品なんです。

 

━━ ゲストはどんな時間を過ごされていますか?

 

加地邸の周囲には近代美術館やビーチ、素晴らしいレストランもたくさんあります。けれど多くのゲストが、ここでのんびりと過ごすことを選びます。2階の展望室から海を眺め、三浦の食材を自分で調理し、持ち込んだワインと共に楽しむ。シェフを呼んで、家族の誕生日会をするゲストもいらっしゃいました。夜は暖炉の前で過ごすのもおすすめです。美しく調和する空間に、ゆっくりと流れる時間こそが、加地邸の最大の魅力なのではないでしょうか。

 

 

 

心を癒す建築と、身体をいたわるホスピタリティ

 

松橋さんは、加地邸の大きな特徴は複雑な重層構造にもあると言います。敷地までは、山の麓から緩い階段を30段ほど登り辿り着きますが、門扉から玄関までのアプローチには、さらに2箇所の階段が。そして建物の中に入っても、部屋から部屋への移動には必ず数段の階段があります。

 

小さな移動を繰り返し、そのたびに視界が変化する。この家には、そんな楽しさがあるのです。そしてその高低差を活かして生まれた動線は、1階中央のサロンへとつながっていきます。水が上から下に流れるように、自ずと人が移動し集まる工夫がなされているのです。

 

遠藤は、加地邸に“家族の絆を作る家”という思いも込めて設計をしました。サロンのロフトスペースには、かつてピアノが置かれ、子どもたちが奏でる音色が家中に響いたといいます。

 

大切な人と、かけがえのない時間を過ごす。心を癒す。建てられて100年近く経ったいまも、その機能は変わらず健在です。そして、「BAKUNE」が果たす役割も、「癒し」にあると松橋さんは言います。

 

 

━━ 「BAKUNE」を導入した経緯を教えていただけますか?

 

ゲストには、この空間を楽しんでいただきたい。笑顔で帰っていただきたい。身も心もリカバリーしてほしい。

そんな思いを私たちは持っています。そして、心はこの素晴らしい建築が満たしてくれる。では身体をケアするものはなんだろうと考え、「BAKUNE」にたどりついたんです。ちょうどパジャマの入れ替えを検討していた時期で、さまざまな製品をリサーチしました。そうして見つけ出したのが「BAKUNE」です。

 

夏季期間の宿泊時は「BAKUNE Dry」、冬季期間の宿泊時は「BAKUNE」をご体験いただけます。

 

━━ ゲストからの評判はいかがですか?

 

導入してからまだ2ヶ月ほどですが、ご使用になられたゲストからは良い評価をいただいています。薄くて軽い、さらりとした肌触り、着心地の良さはとくに好評です。

 

チェックアウトの直前まで、「BAKUNE」で過ごすお客様もいらっしゃるほどです。それに、もともと愛用されているゲストもいらっしゃいました。

 

━━ 他にも良かった点があれば教えてください。

 

じつは、オペレーション面でもメリットがありました。薄くて軽い生地は、コンパクトに収納ができる。畳みやすくてシワもできにくい。保管スペースの削減ができ、オペレーションコストも抑えることができたんです。

 

 

ゲストのコンディショニングを考えて選ばれた「BAKUNE」は、松橋さんの手で丁寧に畳まれ、乱れ箱に収めチェックイン時にゲストに渡されます。

100年前に建築家が加地邸に込めた想い。それは、いまもこうして加地邸のホスピタリティの中に継承されています。

 

 

 

 

 

葉山加地邸

葉山加地邸

神奈川県三浦郡葉山町一色1706

神奈川県三浦郡葉山町一色1706

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