Athlete Relation

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「これほどシンプルにポテンシャルを引き出すプロジェクトは他にない」TENTIALが仕掛けるアスリート支援の新潮流

 

2023年、アスリート一人ひとりのポテンシャルを最大限に引き出すことを目的に始動したTENTIALの新プロジェクト「コンディショニングサポート」。卓球・平野美宇選手から睡眠に関する相談をいただいたことをきっかけにスタートしたこの取り組みは、個人のアスリートに留まらず、順天堂大学体操部など複数の強豪チームにも広がり始めています。なぜコンディショニング製品の開発・販売を生業とするTENTIALが、アスリートのコンディショニングサポートに力を入れているのか——。「社内でも、これほどシンプルに『ポテンシャルを引き出す』プロジェクトはないんじゃないですかね」と話す責任者の三浦氏に、アスリート支援の現在地や今後の展望を聞きました。

きっかけは卓球・平野美宇選手からの相談

 

——最初に「コンディショニングサポート」とはどのような取り組みなのか、概要を教えていただけますか?


三浦:
 TENTIALにおける「コンディショニングサポート」の目的は、アスリートが心身ともに最高の状態を維持し、競技で持てる力を最大限に発揮したり、長期にわたって現役生活を送れるようにすることです。そのための包括的なサポートを、コンディショニングサポートと定義しています。

個人のアスリートに対しては、ご要望に応じて必要なサポートをカスタマイズして提供しています。例えば卓球の平野美宇選手への睡眠指導がそうです。

 

また大学の部活動など、スポーツチームに対してコンディショニングの知識を実装するためのサポートも行っています。大学であれば在籍中の約4年間でコンディショニングを習得してもらい、自身のポテンシャルを最大限発揮できるようにすることが目標です。

そのために睡眠・栄養面での基礎知識の共有、データなどを活用した定量的なフィードバック、大会に向けたコンディショニング(ピーキング)のサポートなどを組み込んだ独自のプログラムを作っています。

 

以前からアスリートの方々にコンディショニング製品を提供していたのですが、その活用方法に加えて睡眠や栄養面といったコンディショニングにまつわる知識の提供など、科学的根拠に基づいて一歩踏み込んだサポートをするようになったのが近年の大きな変化です。

 

——まさにコンディショニング製品の製造・販売を軸としてきたTENTIALにおいて、このような取り組みが始まったきっかけは何だったのでしょうか?


三浦:
 卓球の平野美宇選手から、大きな舞台を前に「できる準備を全てしたい」ということで相談いただいたことが始まりでした。平野選手とは2023年からコンディショニングサポート契約を締結していましたが、パリ五輪を翌年に控える中で、睡眠や遠征先でのケアについて具体的な悩みを伺ったんです。

特に睡眠については「自分でもう少しどうにかできるのではないか」「データを基に、どういう風に取り組むのが良いのか知りたい」といった具合に、平野選手自身が課題感を持たれていました。

 

——睡眠のサポートとはどのようなことをされたのでしょうか?


三浦:
 卓球は遠征が多く、海外を転戦する競技です。そのため時差や不規則な試合時間を前提とした「コンディション調整のための睡眠」が重要になります。

睡眠のアドバイスをするにあたって、まずは平野選手にウェアラブルデバイスをつけていただき、ご自身の睡眠の傾向や特徴を可視化することから始めました。そこで分かってきたのが、疲労度合いと呼吸の浅さに相関があることや、試合時間が不規則な大会で睡眠に影響が出るといったことです。

対策として平野選手に適した「睡眠のための正しい呼吸方法」をお伝えし、実践いただくようにしました。またパリ五輪前だけでなく、五輪後の国際大会にも弊社のメンバーが帯同し、現地でコンディショニングのサポートもさせていただいています。

 

順天堂大学での3年計画:「知る・分かる・できる」の実践

 

 

——平野選手との取り組みが始動したのが2023年の5月頃だったと伺いました。実は順天堂大学との接点も同時期に生まれたそうですね。


三浦:
 平野選手のサポートについて検討していた頃に、順天堂大学の体操競技部を訪問する機会があったんです。監督に選手の悩みについて伺ったところ、睡眠面を中心にかなりの課題感があるというお話でした。

そのような背景から3年間で体操部の文化としてコンディショニングを実装できるようなプログラムをご提案したところ、「ぜひやって欲しい」と。

 

実は当時、僕たちとしても大学の部活動のサポートのあり方について模索していたんです。物品の提供を中心に支援をしてきた中で、使ってもらった選手に喜んでもらえてはいました。でも、それ以上のことはできていない。コンディショニングのサポートができていると自信を持って言えるような状態ではなかったんです。

まさにそのようなタイミングで平野選手のサポートの話が浮上したので、「大学の部活動においても、同じような取り組みが展開できるのではないか」と社内で議論しました。トップレベルのチームが課題を抱えているのであれば、TENTIALとしてその課題解決にもう一歩踏み込んでチャレンジしてみるべきだと。

2つの話が持ち上がったのが2023年の春から夏にかけてなのですが、この時期は僕たちにとって大きな転換点となりました。

 

——順天堂大学の体操部も最初の入り口は「睡眠」の課題だったのですね。


三浦:
 そもそも睡眠時間が短いことや睡眠の質に課題意識があるというお話でした。ただいろいろとお話を伺ってみると、睡眠に限った話ではないことが分かったのです。

 

例えば特に女子選手の中には栄養・食事面の悩みを抱えている選手が複数人いました。体操選手は自分の感覚をすごく大事にするので、体重が軽ければ軽いほど技のキレが良くなると感じているところがあるんです。そのため体重が増えることを嫌って、お菓子しか食べない、ご飯を食べないといった選手がいて。その結果として栄養のバランスが偏り、疲労骨折をしてしまうなど、悪い循環に陥っているケースが見受けられました。

そこで睡眠だけではなく、栄養やストレッチ、ケアといった部分も含めて、包括的な「コンディショニングサポート」という考え方でスタートしました。

 

 

——3年ほどの期間でプログラムを作られたというお話でした。


三浦:
 「知る・分かる・できる」という3カ年計画を立てています。私も高校球児だったのですが、当時の監督が「部活動は3年サイクルで組織やチームづくりを考える」とよくおっしゃっていました。

チームの中に「コンディショニング」が根づくには一定の期間を要します。そのような背景も踏まえて3年でコンディショニングを実装する計画を建てることにしました。

 

 

1年目は「コンディショニングとは何か?」を「知る」フェーズ。2年目は食事・睡眠・運動について学び、コンディショニングの意味を「分かる」フェーズ。そして3年目は必要な情報を自ら取得し、日々の生活の中でコンディショニングを「(実践)できる」フェーズです。

一連のプログラムを通じて、最終的には「コンディショニングについて、自分の言葉で人に伝えられるレベル」まで浸透させることを目指しています。昨年は1年目の取り組みとして計5回のセミナーを実施し、睡眠、呼吸法、栄養など段階的に理解度を深められるように設計しました。

 

 

チームの方針に反映されたコンディショニング

 

——学生の皆さんにとっても、コンディショニングを体系的に学ぶ体験というのは初めての試みになったかと思います。反応はいかがでしたか?


三浦:
 コミュニケーションを繰り返していくうちに、睡眠面を中心に「自分のためになりそうだ」と感じてもらえていることが分かりました。

特に選手たちに火がついたと感じたのが、個別の栄養指導を実施した時です。自分の血液データを踏まえて「どんな栄養素が足りないのか」がはっきりとフィードバックされた時、初めてコンディショニングの重要性を意識するようになったという声を複数の選手からもらいました。

 

 

現在はLINEグループで数名の選手から個別で相談をもらい、食事や睡眠の話はもちろん、時には就職活動の悩みなどプライベートに関するものまでお答えしています。コミュニケーションを積み重ねる中で、お互いの距離もぐっと近づいたように思います。

 

——選手との距離の近さは、現場の様子を見た他の部署のメンバーからも話題にあがっていました。1年目の取り組みを終えて、変化を感じる部分はありましたか?


三浦:
 印象的だったのは、体操場に貼られていた張り紙です。そこにはチームの今年度の課題や来年度の目標などが書かれていたのですが、その中に「セルフコンディショニング不足」とはっきり書かれていました。

僕たちがコンディショニングの重要性を繰り返し伝え続けてきた中で、そこに取り組むことがチームの方針の一つになっているということが、すごいなと。まさにコンディショニングの実装を体現してくれているという意味で、嬉しく思いました。

 

 

今年は2年目に入り、昨年以上に手応えを感じています。従来の取り組みに加えて、主要大会に向けたピーキングのサポートなども始めました。また監督から「選手がメンタルで悩んでいるので相談したい」と連絡をいただけるようにもなっていて。ある意味、僕たちを「頼れるリソースの一つ」として、積極的に活用してもらえるようになったのはポジティブな変化です。

 

名門チームが続々と参画

 

——2025年に入って、この取り組みは他のチームにも広がっていますね。


三浦:
 大学の部活動では、すでに中央大学のバレーボール部との取り組みが始動しています。日本代表選手やプロ選手を数多く輩出している名門ですが、やはり睡眠周りの課題について相談がありました。このチームとはウェアラブルデバイスを貸し出し、睡眠データを取りながら選手自身でコンディショニングができる状態を作ろうというプロジェクトを進めています。

また、大きな取り組みとしてJリーグと未来育成パートナーシップを締結しました。育成年代のJリーグ選抜選手を対象にコンディショニング製品を提供するほか、コンディショニングリテラシーの向上を目指した支援(睡眠指導等)を実施していく計画です。

 

——競技や年代も様々ですが、共通の課題感が存在しているのでしょうか?


三浦:
 一番大きいのは、睡眠の悩みですね。100人の選手がいれば少なくとも10〜20人は睡眠に悩んでいるような感覚です。指導者の先生もその競技のプロフェッショナルではあるものの、必ずしも睡眠やコンディショニングに精通しているわけではありません。だからこそ、その領域に対する悩みが非常に多いんです。

まだ具体名を明かせる段階ではないのですが、すでに進行している複数のプロジェクトにおいても、睡眠がきっかけになっており、確かなニーズを感じています。

 

これほどシンプルに「ポテンシャルを引き出す」プロジェクトは他にない

 

——この1年でコンディショニングサポートの取り組みが一気に加速しています。三浦さんはこの取り組みの意義をどこに感じていらっしゃいますか?


三浦:
 最初は自分でも半信半疑でした。アスリートのコンディショニングのサポートと言ったって、そんな簡単にできるわけないだろうと。でもアスリートや指導者の方々とコミュニケーションを重ねている中で、「コンディショニング」がパフォーマンスを発揮する上での土台になるということに腹落ちしたんです。

 

自分が野球に打ち込んでいた時のことを振り返ると、技術を上達させることにばかり時間を使って、コンディショニングを整えること、心身のベースを作ることを二の次にしていたなと。でも土台がしっかりしている方が、技術もより伸びるんですよね。その話をトップクラスのアスリートや指導者の方々から伺って、「自分は勘違いしていたな、もっと早く知っていれば違ったかもな」と思ったんです。

だからこそ、選手たちにコンディショニングの重要性やその概念を伝える活動にものすごく意義を感じています。僕たちがやっていることは、選手の未来のために、彼らのポテンシャルを引き出すことなのだと。

 

TENTIALは「健康に前向きな社会を創り、人類のポテンシャルを引き出す。」をミッションに掲げていますが、これほどシンプルに「ポテンシャルを引き出す」プロジェクトは他にないんじゃないかと思うんです。

 

——最後にコンディショニングサポートの今後の展望について教えてください。


三浦:
 特に力を入れていきたい点が2つあります。1つはコンディショニングのスペシャリストの育成です。この取り組みを通じて、睡眠だけではなく、食事や心身のケア、海外遠征時の時差対策など「トータルコンディショニング」の重要性を改めて感じました。

そのニーズに応えていくためにも、サポート内容のさらなる深化と拡充が必要です。僕個人の理想ですが、ゆくゆくは引退したアスリートがその担い手になると良いなと。

 

今、僕たちの部署には元プロサッカー選手が在籍しています。彼のような元アスリートが自身の経験や知見を活かせるサイクルができれば、セカンドキャリアの問題解決にもつながるはずですし、スポーツ界にとってもすごく意義がある活動になると思うんです。

 

—— そのサイクルを作ることができれば、コンディショニングの実装という観点でもプラスの面が多そうですね。もう1点についてはいかがでしょうか。


三浦:
 アスリートの声と商品開発をもっと連動させていきたいと考えています。特に今のテーマは「アスリート特有の声」をどれだけ拾っていけるか。インタビューや会話を通じて得た情報を、新素材や新商品の種として活かせるメカニズムを作りたいんです。

あるアスリートのお話で印象的だったのが、衣服を「第2の皮膚」と捉えているということでした。究極の理想は「裸だと勘違いしてしまうくらい、着ていてもストレスを感じない服」だとおっしゃっていて、とてもユニークな着眼点ですよね。

 

例えばその考え方を商品に落とし込んで、「ゼロストレスウェア」のような商品を開発できるかもしれない。これはあくまで例ですが、アスリートならではの声や発想を商品に転換することで、コンディショニングの実装を後押しするウェアやサービスを実現できるのではないかという仮説があります。

商品開発の面においては、まだまだアスリートの方々のパワーを十分に活かしきれていません。コンディショニングサポートを通じてアスリートのコンディショニングにしっかりと寄り添いながら、そこで得られた知見をより多くの方々のコンディショニング向上にもつなげていきたいです。

 

 

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