スポーツ・アート・カルチャー・ビジネスなど、各分野で挑戦を続けるプロフェッショナルが、自分の身体にどのように向き合い、どのようにポテンシャルを発揮しているのか。
ご自身のライフスタイルで実践されている「コンディショニング※」について伺う企画。
今回は、元プロ野球選手・谷繁元信さんに、ご自身のメンテナンス方法やコンディショニング術についてお話を伺いました。
※TENTIALが定義するコンディショニングはライフパフォーマンス向上のために、体調に関わる全ての要因を良い状態に整えること
── 谷繁さんは、普段の生活の中でコンディショニング(健康維持)についてどのくらい意識をされていますか?
まず、何をやるにしても「元気」であることを心掛けています。そのためにもしっかり睡眠をとり、その日の疲れを次の日に残さない。
やっぱり眠いと身体が重たくなるし、思考も鈍るじゃないですか。そうならないよう、睡眠時間を確保することが最重要課題ですね。
── 質の良い睡眠を取るために心がけていることは?
僕は暑いところで寝るのが嫌いなんですよ(笑)。みなさん、冬になると部屋を温めて寝るじゃないですか。
それもあまり好きじゃないので、布団に入って自分の体温で徐々に温めています。それが自分にとって、一番寝つきを良くする方法ですね。
自分に合った枕やマットレスを探すなど、ある程度は寝具にもこだわっています。マットレスは少し硬めのものが好きですね。
今は、特にメーカーを決めているわけではないですが、あまり沈まないタイプのマットレスを選んでいますね。
── 元気でいるために、他に何か気をつけていることはありますか?
食事ですね。現役時代も30歳を超えた頃に、スタミナと持久力をつけるためしばらくトレーニングコーチの指導のもと、食事管理をしていたことがありました。
でも2、3年くらいでものすごくストレスを感じるようになってしまい、結局辞めてしまったんですよ。その時に、食べたいものを食べるのが一番だなと痛感しましたね。
もちろん、肉ばかり食べすぎないよう魚や野菜もバランスよく取り入れるようにはしていましたが。おかげで「食のストレス」はだんだんなくなっていきました。
現役時代は身体も良く動かし汗もたくさんかいていましたから、それでも健康診断などで「悪い」と言われたことはなかったんです。
ところが現役を引退してすぐは、たとえば朝ゴルフへ行き、帰ってきて3、40分くらい昼寝した後にポテトチップスを1袋空けていたんです(笑)。
しかも僕はラーメンが大好きで、週に5杯くらい食べていました。それを1年くらい続けていたら、血液検査で見事に引っかかってしまって。
── それは無理もないですね……(笑)。
そこからはポテトチップスは封印し、ラーメンも多くて週に1杯にしました。お米も夜は抜いたり、食べるとしても玄米にしたり。野菜を多めにして、ヘビーな食事をなるべく摂らないように気をつけていたら、少しずつ身体が軽くなっていきました。
現役の頃の体重は、大抵85キロから88キロをキープしていたんですけど、今は80キロあるかないか。ずっとそれをキープしています。
今年の2月に沖縄へ行ったんです。最終便だったので「機内で何か軽食でも食べられるかな?」と期待していたら全然出てこなくて(笑)。現地に着いたらめちゃくちゃお腹が空いてしまったので、夜11時を過ぎていたにもかかわらず「台湾まぜそば」を食べたんです。
そうしたら次の日、手がパンッパンに浮腫んでしまいました。逆にいえば、普段の食事管理はちゃんと身体に効いていたのだなとそこで実感することができましたね。
── 食事のメニューについて、もう少し詳しく教えてもらえますか?
現在では、食材は豆類が多いですね。後はブロッコリーやレタス、ほうれん草などの野菜。根菜も好きなので、レンコンやゴボウも積極的に摂っています。家族も僕が食べたいものを把握してくれているので、その辺りの食材を使った料理を作ってくれます。
肉も、脂が多い豚や牛は取り除いてもらっていますね。スナックは割とサクッとコントロールできるようになったのですが、その代わりに豆やナッツなどを食べています。
食事量は、だいたい7分目から8分目。それ以上食べると気持ち悪くなってしまうんですよ。現役の頃は、それこそ焼肉屋とお好み焼き屋をハシゴしたり、焼肉の後にラーメンを食べてから帰ったりしていたし、それでも全然足りないくらいだったんですけどね。
── お酒はいかがですか?
昔は飲み歩いていましたが、疲れやストレスで体質が変わったのもあり、ある程度試合に出られるようになってからは、そんなに出歩かなくなりました。
今も自宅では晩酌など一切やらないですし、外で飲むのもひと月に1度か2度、深酒するのは3ヶ月に1度くらいですかね。
お酒を飲むと、次の日の自分がしんどくなるのは分かっているので、それが嫌なんですよ。そこまでしんどい思いをしながら酒を飲む必要ないですし。なので、次の日に何もないか、しんどくてもいいかなと思う時だけ飲みに行く。
もしくは飲みに行くのが決まったら、翌日は仕事を空けるようにしていますね。
── 現役を引退し、現在も運動はしていますか?
血液検査で引っかかって以来、ウォーキングは欠かせなくなりました。だいたい1日に1時間半〜2時間くらい、7、8キロ、多い時で10キロくらい歩いています。
僕は朝食を摂らず、だいたい11時くらいに朝昼兼用の食事を摂っているので、その前に歩くようにしていますね。普段の生活でも、たとえばゴルフ場へ行けば18ホールをカートを使わず歩いたり、仕事場でもできるだけ階段を使うようにしたりしています。
── コンディショニングのために、何か愛用しているギア、グッズなどはありますか?
いろいろ試しましたよ(笑)。「寝る前に乳製品を飲むと良い」と聞けば、各メーカーから出ている乳酸菌飲料を試したこともあるし、知り合いが携わっているサプリを導入してみたこともあります。
でも続かないんですよね。僕らのスケジュールって、毎日同じじゃないからルーティンを作りにくく、継続して毎日飲まなきゃならないものを、どうしても飲み忘れたり間が空いたりしてしまい、そこから続かなくなることが多いんです。
なので、結局「これ」というものが見つからないままですね。
ただ、去年の僕の誕生日(12月21日)に事務所のみんながTENTIALのリカバリーウェア「BAKUNE」を贈ってくださり、それは翌日から毎日のように着ていました。最初に言ったように、寝具は自分でもいろいろ試していて、TENTIALも一度、自分で調べて買ったことがあったんです。
── 「BAKUNE」を着てみた感想は?
普通のスウェットよりも薄くて軽いのに、着ているととても暖かいんですよね。今お話ししたように、この冬は気付けばずっと着ていたので、おそらく身体が喜んでいたのでしょうね。
こういうのって効果が直ちに目に見えてわかるものではないですが、ずっと着ていたのは身体が喜んでいた何よりの証拠。
僕はあまり、ゴワゴワした肌触りの寝具って苦手なのですが、「BAKUNE」は薄くてふわふわした感触。そこも気に入っている理由の一つです。
これからの季節に向けて、TENTIALの短パンやTシャツ(MIGARU Light Knit)も気になりますね。靴下もあるんですよね?それも含めウォーキングにも重宝しそうです。
── お話を聞いていると、谷繁さんは色々なことに対して「ストレスをどう回避するか?」を優先的に考えていらっしゃるように思います。
おっしゃる通り、27年間のプロ野球人生は「ストレスの塊」で、そこから解放された時に「ストレスを感じない生活ってどういうものなんだろう?」と考えている自分がいました。
いろいろと試してみたら、やっぱり「ストレスがないっていいな」と。だったらこの先、わざわざストレスを感じる必要もないし、何をするにもとにかくストレスのない行動を考えるようになりました。
── たとえばどんな時にストレスを感じて、どうすればストレスを感じない行動ができるとお考えなのですか?
現役の時は、自分で自分を守らなければならないことが多々あり、そういうことがものすごくストレスになっていました。本当の自分をもっと出したいのに出せない部分があるんですよね、野球の世界って。
もちろん、それ以外の仕事でも、たとえばこうやってお話ししている時も、どこかで自分を隠そうとするとストレスを感じるじゃないですか。そういうことは、もうしたくないんです。
もちろん、今も全てを曝け出しているわけではないけど、なるべく自分を出して生活していますね。
引退してしばらくは「野球なんて二度としたくない」と思ったし、いっときは観るのも辛かったんですけど、ここ2年くらいで野球を見てもストレスを感じないように、徐々になってきました。
それもきっと、自分を出すようにしてきたからでしょうね。ちなみに今の自分にとって一番のストレス発散方法は、家でゆっくり映画を見ることです。
── では最後に、コンディショニングを整え、仕事とライフスタイルを充実させたいと思っている人へメッセージをお願いします。
僕は今年54歳になるのですが、「この先いつまで仕事をやりながら、好きなゴルフなど他の趣味も続けられるか?」を常日頃考えています。
感覚的に僕はあと20年くらいはできるかな?と思っていますね。
つまり75歳くらいまでは元気でいたい。そのためには無理をせず、日々ちょっとでもいいから身体にいいことを続けていくことが大切ではないかと。
たとえばそれは、腹筋1日30回などでもいい。まずは自分に合った健康法を見つけるところから。みなさんも一緒に頑張りましょう。
元プロ野球選手
Motonobu Tanishige