日本代表選手のパーソナルトレーナーが語る”身体の秘密”

1日平均6,342歩。


これが何の数字かわかるでしょうか?


日本人の1日平均歩数です。(厚生労働省「平成29年国民健康・栄養調査報告」)


約6,342歩、日本人は1日に歩いているということはその歩数分だけ、足に負担がかかっているということです。


しかし、その「足」に対するケアを皆さんはできているでしょうか?


そんな「足の重要性」や「足の悩みを抱える人に有効なケア方法」をサッカー日本代表選手やJリーガーのパーソナルトレーナーを勤める樋口敦トレーナーに語っていただきました。

2020.03.17


【PROFILE】

樋口敦(ひぐち・あつし)

サッカー日本代表選手・Jリーグ選手の体の使い方を指導するパーソナルトレーナー。理学療法士・アスレティックトレーナーの資格を持ち、Jリーグのファジアーノ岡山のトレーナーとしての活動実績も。現在はパーソナルトレーナーとして活動するかたわら、広島県を拠点とするスポーツコミュニティクラブ、福山SCCの理事を勤め、著書「10代のための新しいトレーニング ヒグトレ 背中を柔らかく鍛えるとサッカーはうまくなる」も執筆。



怪我を治してあげることができなかった


ーー理学療法士・アスレティックトレーナーになられた理由・経緯を教えてください。


樋口:高校生の時にJリーグのクラブで「トレーナー」として働こうと決めました。そして、トレーナーになるためには「*理学療法士」と「*アスレティックトレーナー」という2つの資格が必要だと思ったので、その資格を取るために平日は朝から晩まで病院でスポーツ選手のリハビリを、土日は朝から晩までセミナー・勉強会に参加してトレーナーとしての知識をひたすら身につけるというルーティーンワークをし続けました。

*理学療法士:「立つ・歩く・走る」といった身体の基本的な機能回復をサポートする動作のリハビリテーション専門家。国家資格。


*アスレティックトレーナー:スポーツ現場で選手が受傷したときの応急処置や傷害の評価、復帰までの手順、傷害予防のために働くスタッフ。



ーーその結果Jリーグクラブのトレーナーになることができたんでしょうか?


樋口:はい。27歳の時に現在J2リーグで戦っているファジアーノ岡山というチームがトレーナーを募集していたので、応募したところトレーナーとして採用してもらい、Jリーグのクラブのトレーナーになるという夢を叶えることができました。ですが、岡山に*グロインペインという怪我を抱えていた選手がいたのですが、怪我の痛みをなかなかとってあげることができず、その選手を契約満了にさせてしまったんです。その時に自分にはまだまだ実力が足りないと思ったので、岡山を辞め、もう一度勉強し直してパーソナルトレーナーとして独立しました。



アスリートに多い怪我 グロインペインとは?


ーーグロインペインはアスリートに多い怪我なのでしょうか?


樋口:サッカー選手に多い怪我として挙げられるのが「肉離れ」「疲労骨折」「捻挫」などがあります。サッカー選手の障害的な特徴の一つにグロインペイン症候群があります。は難治性慢性疾患で完治しづらい怪我です。1チーム(22~25人程)に3~4人の割合でグロインペインを患っている選手がいるほどです。



ーーグロインペインとはどのような怪我なのでしょうか?


樋口:股関節の筋肉の腱がついているところに炎症が出て痛みが出る怪我です。



樋口:完治するまでには大体2~3ヶ月。怪我の状態がひどいと完治するまでに半年はかかる非常に治りずらい怪我です。クシャミをするだけでも痛むという人もいます。



怪我の原因は患部だけじゃない


ーー原因はなんでしょうか?


樋口:グロインペインの原因は患部の股関節だけでなく、全身の様々な所に問題が生じ、それらが複雑に絡み合っていることも挙げられます。例えば、足首の可動域性が低い、足の骨のバランスが悪い、上半身の脊椎の可動性が固い、肩甲骨が動きづらいなどです。そういった全身の関節や可動域の連動性の低下が原因で上半身と下半身をつなぐ役割を担っている股関節に負荷がかかりグロインペインになってしまうのです。



ーー痛みの出ている患部だけでなく、その患部に通ずる様々な原因によって怪我になるリスクが高まるということですね。


樋口:はい。身体は全部繋がっているので。なので、グロインペインの股関節の痛みに限らず、一般の方の腰痛や肩こりといった症状も腰や肩の悪化だけが原因ではありません。姿勢や身体の使い方といったあらゆる部位が腰や肩に影響を及ぼして、腰痛や肩こりの原因になっている場合の方が多いのです。そして、その身体が全部繋がって運動していることを運動連鎖といいます。



ーー運動連鎖。


樋口:運動連鎖とは関節の運動が他の隣り合う関節に影響を与えることです。この運動連鎖がどれだけスムーズにできているかによって、アスリートにとっては怪我の予防・パフォーマンスUPに、一般の方にとっては全身のあらゆる体の痛みの改善に繋がります。、例えば、サッカーでいうとシュートを打つ時。身体の運動は足を振り上げて股関節→膝関節→足関節という順番に曲がって運動し力を伝えていくことで最後はボールに強い力を伝えることができ、強いシュートを打てます。


そして、その運動連鎖において重要になる体の部位はいくつかありますが、その一つはどこだかわかりますか?



解決の鍵は「足部」


樋口:姿勢や身体の使い方といったあらゆる部位が腰や肩に影響を及ぼして、腰痛や肩こりの原因になっている場合の方が多いのです。そして、その身体が全部繋がって運動していることを運動連鎖と言います。


そして、その運動連鎖において重要になる体の部位はいくつかありますが、その一つはどこだかわかりますか?



ーーどこでしょうか?


樋口:「足部」です。



ーーなぜ「足部」が体の悩みを解決する上で重要になるのでしょうか?


樋口:「足部」は体の部位の中で、唯一、地面につき、全身の体重を支えている部位になるからです。日常生活やスポーツにおいて足に対してどれくらいの負荷がかかってるかご存知ですか?



ーーすみません、わからないです。


樋口:動作によって変わるのですが、立つ→体重分の負荷、歩く→体重の約1.5~2倍、走る→体重の約3倍、跳ぶ→体重の約6倍の負荷が足にかかってきます。つまり、体重が60kgの人の一歩には約120kgの負荷がかかっているのです。そして、それだけの負荷に柔軟に耐え得るために、足には26個もの骨(体の中で骨の数が一番多い)があり、複雑な構造をしているのです。



ーーそんなに負荷がかかっていて、かつ、そんなに複雑な構造をしているとは知らなかったです。


樋口:おそらく多くの皆さんがそれらの事実・足の重要性を知らないので足に対するケアが疎かになっているんだと思います。そのため、足の骨や関節のバランスを正しい位置に整えてあげることによって、スムーズな運動連鎖を生み、体のあらゆる悩みを解決できる可能性が非常に高まります。



インソールを履いたことによって膝の痛みが消えたという事例も



ーーなるほど。足の重要性に私たちは気づけていないということですね。では、足の骨や関節のバランスを正しい位置に整えるために有効な方法を教えてください。


樋口:有効な方法の一つとして日常から「インソール」を履いて歩くことです。



ーーインソールを履いて歩くことによってどのような効果が得られるのでしょうか?


樋口:インソールを履くことによって得られる効果としては①足の骨のバランスを整えられる・②地面から衝撃を和らげてくれる・③足にかかる体重の負荷を分散してくれる・④アーチを形成してくれるなどが挙げられます。



ーー樋口トレーナーが診てきた選手・患者さんにインソールを実際に処方して効果がみられたという事例はありますか?


樋口:ジャンプやスクワットをした時に少し膝に痛みを感じながらプレーをしてた選手がいたんですが、その場合、普通なら運動前に患部である膝回りをほぐしたりして改善を図ると思います。ですが、インソールを履いて足の骨を正しい位置に戻してあげるという処置をしたことによって痛みが消えたという事例がありました。



ーーインソールによって痛みが消えたんですね。


樋口:はい。これはサッカー選手の競技でのインソールの使用の話ですが、日常に履く私靴にもインソールを入れて普段の生活から足の骨のバランスを整え、足本来がもつ機能を競技でも発揮できるようになるのでアスリートは競技用シューズ・ランシュー・スニーカー(私靴)にインソールを入れるべきだと思いますね。



研究でも証明されている「立方骨」の重要性



ーーでは、現在、様々な機能を持ったインソールがあると思いますが、どのような点に気をつけてインソールを選ぶべきでしょうか?


樋口:足には3つのアーチ(外側縦・内側縦・横アーチ)があります。アーチが崩れている人は扁平足や機能的ではない足部と言われ、足が正常に機能しないため、足に様々な障害が起きることはもちろん、体のあらゆるところに問題が生じてきます。そのため、アーチをしっかり形成してくれるインソールを選ぶべきだと思います。



ーー樋口トレーナーに日常用インソール【TENTIAL INSOLE】を履いてもらいましたが、このインソールはアーチを形成してくれているでしょうか?


樋口:今も履いていますが、十分にアーチを形成してくれているように感じます。先ほども言ったように足には25の骨があるのですが、その骨のうちの一つに「立方骨」という骨があります。



樋口:その「立方骨」を上に持ち上げることによって正常な3つのアーチを形成させることができるというのがすでに研究によって明らかになっています。そして、【TENTIAL INSOLE】はキュボイド理論という「立方骨」を支える特許技術を採用しているため、医学的な観点から見ても正常なアーチの形成に効果があると言えます。



ーー従来のインソールは扁平足であれば、崩れた内側縦アーチ自体を持ち上げることで改善しようというものが多かったんですよね?


樋口:はい。その通りで「正常なアーチを形成する」という点では従来のインソールも【TENTIAL INSOLE】も同じなのですが、それに対する手法が違うと思います。従来のインソールは「アーチが崩れたなら、そのアーチ自体を下から持ち上げてあげよう」というものでした。



ーー扁平足などの人に対してそのようなインソールが処方されていたということですね。


樋口:ですが、下がったアーチ自体を持ち上げようとした場合、その部分が靴の中で圧迫され痛みが生じ「足底筋膜炎」になるということが多発しました。それに対して、【TENTIAL INSOLE】はアーチ自体ではなく立方骨を持ち上げてアーチ形成を図るため、足を圧迫されることも足底筋膜炎になることもありません。



ーー扁平足や足底筋膜炎で悩まれている人にとっても【TENTIAL INSOLE】は効果があるということですね。


樋口:非常に効果があると言えると思います。また、扁平足だけでなく、膝や腰の痛みに悩んでいるアスリートや一般の方にも効果があると思いますね。




経営者も体をコンディショニングする時代へ



ーー 樋口トレーナーはアスリートだけでなく、一般の方のパーソナルトレーナーもされているんですよね?


樋口:はい。僕のところにはバリバリに働いて活躍している経営者層の方が多いですね。そういう意識の高い経営者の方々は仕事において常に100%のパフォーマンスを発揮したいと考えています。けど、そういった経営者の方達は仕事がとても忙しいため、体がとても疲れやすい。なので、体力強化や疲労からくる体の痛み・肩こり・腰痛の改善を求めて僕のところにきます。



ーーそのようなバリバリに働いている経営者の方々に対してどういった指導をされているんですか?


樋口:運動において基礎体力と体の機能を高めて、それらの問題を解決できる独自のメニューやプログラムを組んで教えています。



ーー実際に経営者の方々からはどのような声が上がっていますか?


樋口:「疲れにくくなって仕事が捗っているよ」とか「毎日100%で仕事ができてるよ」といった声をいただけていますね。



ーー経営者の方々は取引先や出張など色々なところに出歩いて歩く機会が多いと思うのですが、足に関する悩みを持った方も中にはいるんじゃないでしょうか?


樋口:足よりも腰や膝、股関節に痛みや悩みを抱えている方は多いですね。けど、それらの痛みを改善するのに重要なのは冒頭でも言いましたが、「足部」です。「足部」からの運動連鎖によって腰や膝に負担がかかって痛みが生じているのです。



ーーそういった方々にはどのような処方を?


樋口:「足部」からのアプローチの一つとして、インソールを使ってもらって痛みや疲れを改善できるようにしています。



ーーインソールの使用によって経営者の方々は効果を感じられているのでしょうか?


樋口:はい、感じていただいてます。なので、そういった足・腰・膝・股関節などに痛みや悩み、疲れを感じている経営者の方々にもこの【TENTIAL INSOLE】を普段から履いて歩くことは効果的だと思います。



ーーなるほど。経営者の方々は仕事で100%の力を発揮するために体のコンディショニングにも気を遣っているのですね。


樋口:そうですね。アスリートに限らず経営者も体が資本となるので、日頃の体のコンディショニングというのは非常に重要であると僕は思います。そういった意味で今まではアスリートにパーソナルトレーナーがつくのはよくあることでしたが、これからは仕事のパフォーマンスをアップさせたいビジネスマンにもパーソナルトレーナーがつくのも当たり前という時代にしていけたらと思いますね。



(取材・文=浅岡大貴)

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